ほおに赤い発疹ができる伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)(リンゴ病)の患者が増えている。夏にはやる感染症で、厚生労働省によると、全国の定点調査で1医療機関あたりの患者数は、過去10年で最も多くなっており、注意を呼びかけている。

 リンゴ病は、ヒトパルボウイルスB19による感染症で、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)を介して感染が広がる。患者の多くは小学校入学前後だが、成人の発症も確認されている。

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 感染から10~20日後に両ほおに赤い発疹が現れるのが特徴で、手や足に網目状、レース状に広がる。発疹が出る前には微熱や風邪のような症状が出ることが多く、夏季に患者が増加する傾向にある。

 感染症の調査などを担う国立健康危機管理研究機構(東京)によると、全国の定点医療機関から報告された患者数は、6月2~8日の1週間で1医療機関あたり2.28人と過去10年で最も多かった。拡大が顕著なのは北関東で栃木7.19人、群馬6.72人となっており、山形6.38人、富山4.69人、長野4.67人などと続く。

 広島県では、広島市内で感染拡大傾向にあるとして、警戒を促す警報を5月22日に発令した。市内の定点医療機関での6月2~8日の患者数は計84人で、1定点あたりの患者数は3.82人と1999年の統計開始以来最も多い人数となった。市の担当者は「一度流行すると4~5年続くことが多い。今夏はさらに感染が広がる可能性がある」とみている。

 リンゴ病には特効薬はなく、感染した場合は自然治癒を待つしかないという。厚生労働省感染症対策課はチラシを作成し、手洗いやうがいなどをこまめにするなどして、感染予防を促している。

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