バングラデシュの難民キャンプで2025年2月11日、USAIDのロゴが入った支援物資を運ぶロヒンギャの少年=ロイター

ニコラス・クリストフ

 マルコ・ルビオ米国務長官は善人でありながら悪いことをしている人だと私は見ているが、彼は私のことをもっと悪く考えているようだ。彼は最近、私がうそつきだとほのめかしたのだ。

 議会での証言で、ルビオ氏はトランプ政権による米国際開発局(USAID)の解体による犠牲者はいないと主張した。

 「私の在任中、子どもは一人も死んでいない」と彼は断言した。公聴会の別の場面では、大人にもその範囲を広げた。「USAID(の解体)で死んだ人はいない」

 ばかげた主張だ。議論があるのは、死者を数千人、数万人、数十万人のどの単位で数えるか、ということだけだ。カリフォルニア州選出の民主党下院議員ブラッド・シャーマン氏は、米国の人道支援停止の結果として亡くなった人々に関する私やロイター通信の報道を引用し、ルビオ氏に反論した。

 「それはうそだ」。ルビオ氏は言った。「誤りだ」とも。

 そういうわけなので、ルビオ氏に真実を伝えさせて欲しい。南スーダンでエイズウイルス(HIV)に感染して生まれた5歳の少年、エバン・アンズー君を紹介する。

 私は3月に南スーダンについてのコラムで、エバン君について触れた。彼はあなたや私の子どもと同じように大切な存在だった。エバン君の命は私たちの手の中にあった。米国は5年間、「大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)」を通じて、1日12セント以下の抗レトロウイルス薬で彼の命を守った。これはジョージ・W・ブッシュ大統領が始めたプログラムで、これまでに2600万人以上の命を救い、世界のエイズ情勢を一変させ、米国への好感度を大いに高めた。

この子たちの死の否定は、存在を消し去るだけでない

 そして、ドナルド・トランプ…

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