コロナ禍には面会を禁止する病院が続出した=2020年12月当時(画像を一部加工しています)

■記者コラム  「多事奏論」 編集委員・岡崎明子

 今年も残すところあと10日。この1年をふりかえって、我が家の最大ニュースといえば、夫が脳梗塞(こうそく)で救急搬送されたことだろう。幸い大事に至らず、仕事の合間をみては病室を訪ねた。それが当たり前のことだと思っていた。

 だから週1回、1回15分に面会を制限され、誰にも看取(みと)られずに父親が逝ったという知人の話を聞き驚いた。彼女の話をきっかけに取材を始め、いまだ面会制限を続けている病院がかなりの数に上ることを知った。昨年5月に新型コロナは感染症法上の5類に移行し、私たちの日常生活はコロナ禍前に戻った。それなのになぜ、病院は「今もコロナ禍」なのか。

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 記事を掲載すると「同じ経験をした」と訴えるメールが60通以上届いた。中には病院関係者からのメールもあった。その一人、静岡市立静岡病院で感染管理室長を務める医師の岩井一也さんを訪ねた。静岡病院は静岡県内で唯一の第1種感染症指定医療機関だ。

 そもそも、面会制限は感染対策上、意味があるのでしょうか?

 「面会制限により感染症が減り、死亡者が減るという明確なエビデンスはないと思います。一方で、面会を制限すると回復が遅れるとか、せん妄が生じやすくなるといった報告はたくさんあります」

 静岡病院ではコロナ禍の初期に面会制限の貼り紙を出したこともあったが、それでも一律禁止にはしなかったという。入院患者がコロナに感染していても、容体が悪化したときは家族を呼んだ。ウイルスの特性がわかってきてからは、面会制限は実施していないという。

 「人の行動を縛る対策を導入…

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