ベルリンを拠点とする若手カルテット、レオンコロ弦楽四重奏団が今月初来日し、各地で公演を開く。2019年に結成し、22年には英ウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクールと仏ボルドー国際弦楽四重奏コンクールで相次いで優勝。躍進の糧となったのは「ゆっくり歩む」という独自のポリシーだったという。
アムステルダムやドイツなど、様々なバックグラウンドで育った同世代の4人がベルリン芸術大学で出会い、授業の一環で室内楽を結成。折しもコロナ禍前夜。腕試しにと申し込んだコンクールは相次ぎ中止に。感染対策のため、大学で練習をすることもできなくなった。
気の毒に思った知人が、練習に使っていいと、教会の鍵を貸してくれた。音楽だけに集中することが許される、かつてない日々が与えられた。先の見えないことが、むしろ希望に感じられた。憧れだったモーツァルトの「不協和音」やシューベルトの「死と乙女」の響きを、心ゆくまで味わった。
教授の指示もあり、練習して…