レバノンのベイルート南郊で2024年10月1日、イスラエル軍の空爆で煙が立ち上った現場=AP

 イスラエル軍のレバノンへの地上侵攻をともなう大規模攻撃が続くなか、過去1年間でのレバノン側の犠牲者が4日に2千人を超えた。とくに9月末に攻撃が激しさを増してから、医療施設などへの被害が相次ぎ、職員も犠牲になっている。

 イスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘を続けるイスラエル軍は5日、レバノン南部の病院に隣接するモスクを夜通し攻撃したと発表。「ヒズボラが病院を悪用している」と主張した。AP通信によると、この病院は声明で「9人の医療スタッフが負傷し、ほとんどが重傷だ」と述べた。

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3日の記者会見で、過去24時間で医療従事者28人が殺害されたと説明し、医療施設への攻撃を直ちにやめるよう訴えていた。

ガザでも空爆、23人死亡

 イスラエル軍によると、地上侵攻を始めてから4日間で、ヒズボラ関連施設など2千以上の標的を攻撃し、戦闘員ら約250人を殺害した。ヒズボラも応戦し、4日は約220の飛翔(ひしょう)体がイスラエルに向けて発射されたという。

 レバノン政府は4日、イスラエル軍の攻撃により前日以降37人が死亡し、151人が負傷したと発表した。過去1年間での死者は2011人となった。APによると、戦闘激化のため、過去2週間でレバノンから25万人以上のシリア人と、8万2千人以上のレバノン人が、シリアに避難した。

 パレスチナ自治区ガザでの戦闘も終わりが見通せない。イスラエル軍は5日、ガザ中部に避難命令を出した。付近での空爆が続いており、ガザ保健省の5日の発表によると、前日以降23人が死亡した。昨年10月の戦闘開始以降の死者数は4万1825人となった。(今泉奏)

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