レバノン南部でイスラエルとの国境を監視している国連の平和維持部隊「レバノン暫定駐留軍」(UNIFIL)について、国連安全保障理事会は28日、任務を2026年12月31日で終わらせ、撤退を開始させる内容の決議案を全会一致で採択した。イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが激しい戦闘を繰り広げたレバノン南部は不安定な状況が続いており、UNIFILの撤退がさらなる混乱を生む可能性もある。
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UNIFILは1978年に国連安保理の決議で設立された。内戦下のレバノンに流入していたパレスチナ解放機構(PLO)の戦闘員から攻撃されたイスラエルが、レバノン南部に一時的に軍事侵攻したことを受け、イスラエル軍の撤退確認や安定を取り戻すことなどがUNIFILの目的とされた。
例年は任務延長、米国が撤退支持か
国連のウェブサイトによると、UNIFILには8月1日現在、47カ国から約1万人が派遣されている。任務は1年更新で、安保理では例年8月の期限を迎える前に、活動を延長する決議案が採択されてきた。
だが今回、強いイスラエル寄りの立場を取りUNIFILの活動延長に後ろ向きだと報じられていたトランプ米政権が撤退を要求したとされる。国連外交筋や米メディアによると、当初は例年通り任務を1年間延長させる決議案が起案されたが、理事国間の協議で米国が賛同せず、具体的な撤退時期を盛り込むことになった。
28日の決議は、今回の任務…