レバノン南部で2024年9月23日、イスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエル軍との国境を越えた対立が続くなか、立ち上る黒煙=ロイター

 イスラエル軍が、イスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点を置くレバノンへの大規模な空爆を始めた。ロイター通信によると、23日朝からの空爆の死者は500人を超えた。急速な衝突拡大の背景は何か。国際法的な視点からはどう捉えることができるのか。立命館大の末近浩太教授(中東地域研究)と早大法学学術院の萬歳(ばんざい)寛之教授(国際法)に聞いた。

  • イスラエルの大規模空爆、レバノンでその時何が 「安全な場所ない」

立命館大の末近浩太教授(中東地域研究)

 レバノンでは1日の死者が500人を超え、イスラエルによる攻撃は2006年の大規模衝突を上回る規模となっている。高速道路に逃げようとする市民の車列ができる光景も06年以来。当時のような危機が迫っているという認識が人々にもあるということだ。

 イスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルの対立は40年以上も続いてきたが、近年では全面的な交戦はしない、という原則があり、国境地帯に限定した低強度の紛争を続けてきた。それがこの数日間で破られ始めている。どちらが先に原則を破ったかは水掛け論になるが、通信機器の一斉爆破は無差別攻撃といえるもので、大きな問題だった。客観的にみればイスラエルが原則を破ったといえる状況だ。

 その結果ヒズボラは、これま…

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