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小型の「量子メス」の予想図。縦5メートル、横10メートルほどとコンパクトでコストも抑えられるため、粒子線がん治療の普及が期待されるという=量子科学技術研究開発機構(QST)提供

 光速の50%という超高速の粒子線を高強度レーザー光によって発生させたと、量子科学技術研究開発機構(QST)などの国際研究チームが13日、発表した。これまでの最高速度を大きく上回る世界新記録だという。次世代の粒子線がん治療装置「量子メス」の小型化に欠かせない技術で、将来、多くの患者の治療につながる可能性がある。

 粒子線がん治療は放射線治療の一種で、超高速の炭素イオンや陽子などの粒子線でがん細胞をたたく。X線やガンマ線と違い、体の奥にある患部に集中的に照射でき、手術の難しいがんでも実績をあげている。正常な細胞へのダメージを抑えて副作用も少ないとされる。

 ただ、従来の粒子の加速器は大がかりで、治療施設が大きな体育館ほどのものもある。導入コストも100億~300億円と巨額だ。このため、炭素イオンを使う重粒子線治療装置は国内7カ所に限られ、適用対象となる年間7万人の患者のうち、実際に治療できているのは8%にとどまる。普及にはコストを抑える必要があり、QSTは会議室サイズの次世代治療装置「量子メス」の開発を進めている。

 量子メスは、従来の加速器よ…

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