モスクワで2025年3月13日、ベラルーシのルカシェンコ大統領との共同記者会見で話すプーチン大統領=AP

 米政府は25日、黒海での戦闘を停止し、安全な航行を確保することで、ロシア、ウクライナとそれぞれ合意したと発表した。ただ、ウクライナへの侵攻を続けるロシアは、銀行などへの制裁解除が先だと主張。トランプ政権はロシアの農産物輸出への支援を約束し、制裁解除を検討するなど協調姿勢で、ウクライナは不信感を募らせている。

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 「トランプ大統領は対話を通じ、新たな世界の突破口を目指している。ロシアや米国、ウクライナを含む世界にとって大きな勝利となるだろう」。2月の米ロ協議に参加したロシア政府系ファンドのドミトリエフ総裁は25日、合意を歓迎するコメントを発表した。

 ラブロフ外相も同日、ロシア国営テレビのインタビューで「我々には明確な(合意履行の)保証が必要だ。米国が(ウクライナ大統領の)ゼレンスキー氏に命じた結果でなければならない」と述べるなど、ロシアでは交渉の主導権を握っているとの満足感が漂う。

 米国は23~25日、ロシアとウクライナそれぞれの代表団とサウジアラビアの首都リヤドで二国間協議を行った。米発表の協議結果によると、両国と「黒海における安全な航行の確保や武力行使の排除、商業船舶の軍事目的使用の禁止」で合意。トランプ氏がロシアのプーチン大統領、ゼレンスキー氏と個別の電話協議で合意したエネルギー施設への攻撃停止も「実施に移す措置の策定」を決定した。いずれの合意についても、実施に向けた支援として「第三国の仲介」を歓迎するとした。

 ただ、その後のロシア大統領府の発表では、黒海での戦闘停止は、食料輸出に関わるロシアの銀行に対する制裁緩和や、国際的な決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT、スイフト)への接続などが実現した後に発効すると主張した。

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