ロシア、ウクライナ両政府は25日、捕虜ら拘束者を計303人ずつ交換し、合意した拘束者1千人ずつの返還が完了したと発表した。ただ、ロシア軍は24日夜から25日朝にかけ、2夜連続となる大規模攻撃を実施。停戦交渉は進みそうにない。
拘束者の交換は23日から始まり、3日連続で行われた。両国は近く、停戦条件を記した文書を相手方に渡す。拘束者の交換や、停戦条件を互いに文書で提示することは、両国がトルコ・イスタンブールで16日に行った直接協議で合意していた。
ロシア上院のコサチョフ副議長は24日、地元メディアに対し、ロシア側の停戦条件に関する文書は作成の「最終段階」にあり、「数日以内に相手方に渡されるだろう」との見通しを語った。
ただ、ウクライナは3月以降、一貫して「無条件かつ全面的な即時停戦の用意がある」と訴えてきたが、ウクライナ東部・南部4州の完全支配などを目指すロシアがウクライナに歩み寄る気配はない。
一方、ウクライナ空軍や当局によると、2022年2月の全面侵攻開始以来最大規模となるロシアの攻撃では、ドローン(無人機)がおとり機を含めて298機、ミサイルは69発が飛来。少なくとも計12人が死亡した。非常事態庁は、中西部ジトーミル州で8歳、12歳、17歳の子ども3人が死亡したと報告した。
死者は他にも、キーウ州4人▽中西部フメリニツキー州4人▽南部ミコライウ1人がそれぞれ確認されている。
25日に市の祝日「キーウの日」を迎えた首都でも、空襲警報が6時間以上発令され、当局によると、25日午前10時半(日本時間同午後4時半)時点で11人が負傷した。大学寮も被害を受けたという。
ゼレンスキー大統領はSNSで「世界は週末の休みを取っているかもしれないが、戦争は週末であろうが平日だろうが続く」と指摘。「米国の沈黙、世界の沈黙は、プーチン(ロシア大統領)を勇気づけるだけだ」と制裁の強化を訴えている。