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2024年5月15日、モスクワでプーチン大統領らとの会議に出席したロシア国家安全保障会議のショイグ書記=ロイター。ショイグ氏は前国防相で、戦争犯罪などの容疑で6月24日付で国際刑事裁判所から逮捕状が出された。
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 ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)は25日、ウクライナの電力インフラに大規模な攻撃を加えた行為に責任があるとして、ロシアの前国防相のショイグ国家安全保障会議書記とゲラシモフ参謀総長に戦争犯罪などの容疑で逮捕状を出したと発表した。逮捕状は24日付。ICCは発表で、さらなる犯罪行為を防ぐために逮捕状の発行を公表したとしている。

 発表では、少なくとも2022年10月10日から23年3月9日、ロシア軍がウクライナの電力インフラに対して行ったミサイル攻撃について、民間人の被害が「予想される軍事的利益を明らかに上回っていた」と指摘。両氏が、民間施設への攻撃を指示した戦争犯罪や、人道に対する犯罪の責任を負うに足る「十分な証拠がある」とした。

 ロシアはICCに加盟していないが、その加盟国・地域では逮捕される可能性があり、両氏は国外への移動には制約を受けることになる。

 タス通信によると、ロシア国家安全保障会議の広報は「ICCの管轄権はロシアに及ばず、米欧の我が国に対するハイブリッド戦争の一環だ」と批判した。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、「歓迎する」とする声明をSNSで発表。「(インフラ施設に対する)攻撃の計画や実行に携わったすべての犯罪者に、法の裁きが下ると理解させなければならない」と強調し、今後もロシア側の責任が追及されることに期待を示した。

 ウクライナ侵攻をめぐっては、ロシア軍がウクライナの占領地から違法に子どもを連れ去った行為に責任があるとして、ICCは昨年3月、ロシアのプーチン大統領らに戦争犯罪容疑で逮捕状を出していた。ウクライナの電力インフラへの攻撃については、今年3月、ロシア軍の司令官2人に戦争犯罪容疑で逮捕状を発行している。(森岡みづほ)

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