ロシアの次の標的はどの国か――。ウクライナ侵攻を続けるロシアに隣接するバルト3国で緊張が高まっている。ロシアからの攻撃への備えが急ピッチで進むが、北大西洋条約機構(NATO)は加盟国のバルト3国を有事の際に守れるのか。重い課題をつきつけられている。
- 防衛費増加へ「欧州はより責任」 兵士増員必要 NATO軍事委員長
5月22日、バルト3国の一つ、リトアニアの首都ビリニュス。世界遺産にも登録されている歴史地区の中心にある広場で、新たに常駐するドイツ軍部隊の発足式が開かれた。
力強い行進曲に合わせ、迷彩服の屈強なドイツ兵の隊列が行進し、上空をドイツ軍の軍用機が旋回する。目抜き通りにはドイツ軍旗が掲げられ、見物客はドイツ国旗を振って歓迎した。
「同盟を脅かす者は、同盟全体が結束して、NATOの領土の1インチまで守り抜くという覚悟を知るべきだ」。ドイツのメルツ首相は整列した兵士らの前でこう宣言した。ドイツが部隊を単独で外国に常駐させるのは第2次世界大戦後初めてとなる。
ナチス・ドイツに占領されたが歓迎ムード
そのきっかけは2022年2…