エストニア北東部ナルバから、国境の川を挟んでロシア側に設置された大型スクリーンを見る人。ナチス・ドイツに対する戦勝80年を記念する式典の様子が中継されていた=2025年5月9日、森岡みづほ撮影

 ロシアの次の標的はどの国か――。ウクライナ侵攻を続けるロシアに隣接するバルト3国で緊張が高まっている。ロシアからの攻撃への備えが急ピッチで進むが、北大西洋条約機構(NATO)は加盟国のバルト3国を有事の際に守れるのか。重い課題をつきつけられている。

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 5月22日、バルト3国の一つ、リトアニアの首都ビリニュス。世界遺産にも登録されている歴史地区の中心にある広場で、新たに常駐するドイツ軍部隊の発足式が開かれた。

 力強い行進曲に合わせ、迷彩服の屈強なドイツ兵の隊列が行進し、上空をドイツ軍の軍用機が旋回する。目抜き通りにはドイツ軍旗が掲げられ、見物客はドイツ国旗を振って歓迎した。

 「同盟を脅かす者は、同盟全体が結束して、NATOの領土の1インチまで守り抜くという覚悟を知るべきだ」。ドイツのメルツ首相は整列した兵士らの前でこう宣言した。ドイツが部隊を単独で外国に常駐させるのは第2次世界大戦後初めてとなる。

リトアニアのビリニュスで2025年5月22日、ドイツ軍部隊の発足式に出席したドイツのメルツ首相(右から2人目)=ロイター

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