@エストニア
紺色の見慣れたパスポートを見て、話しかけた。「ウクライナから来たの?」。昨年12月、エストニアの首都タリンからロシアとの国境に向かっていたときのことだ。
- 「ロシアに行く」その日はもう来ない 150m先の隣国、少年の葛藤
「うん、今はワルシャワに住んでいる」。雪道で揺れるバスの車内でウクライナ人のダニール・バトゥシュチャクさん(36)は答えた。
一昨年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻が始まったとき、モスクワでドラマの撮影監督を務めていた。前夜にウクライナに残る妻と電話し、「戦争なんてありえないよ」と言ったばかりだった。
だが、翌早朝、妻は「爆撃さ…