戦禍に見舞われ、ロシア軍による連行も経験したウクライナ人の男性が、和歌山市で生活している。故郷への複雑な思いを抱えつつ、日本での就職をめざして日本語学習に励んでいる。
ロシアの侵攻 「驚きはしなかった」
2022年末に来日したブラジスラブ・ボブネンコさん(27)は、和歌山市の専門学校で日本語を学ぶ。「めっちゃ難しい」と言うが、新出の単語は全て書き出し、平日約3時間半の授業に加え、復習と宿題に4時間をかける。
週3~4日は、市内の居酒屋でアルバイト。オンラインで情報技術を学ぶウクライナの大学院生でもある。博士課程で、画像から生物の種類を判別するアプリを開発しているという。
ウクライナ東部のドネツク州出身。故郷は製鉄や機械製造が盛んで、工場が立ち並ぶ街だった。ロシアが侵攻した22年2月24日は、大学から自宅に戻った昼ごろに両親から状況を聞いた。「信じがたかったけど、驚きはしなかった」。地元では14年からウクライナ軍と親ロシア派の武装勢力が激しく対立していた。
戦禍が迫るなか、22年4月…