(7日、プロ野球 千葉ロッテマリーンズ7―3東北楽天イーグルス)

見せ場はいきなりやってきた。一回1死一、二塁。ロッテの石川慎吾が2ボールから低めの変化球を振り抜くと打球は左翼前へ転がった。この日1軍に昇格したばかりの4番打者。今季初打席での先制打に、かみしめるように拳を握った。

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 プロ14年目の32歳は背水の覚悟だった。大阪・東大阪大柏原高3年時に全国選手権に出場。日本ハム、巨人と渡り歩き、2023年途中にトレードでロッテへ。パンチ力のある外野手だが定位置をつかめず、昨季は33試合の出場に終わった。今季も開幕から2軍暮らしが続いていた。それが「まさかの4番」。何度もスタメン表を見返したといい、「ラストチャンスだと思って振った」。

 豪快なスイングから、巨人時代は「ダイナマイト・シンゴ」の愛称で呼ばれた。ロッテには「ダイナマイト・ダイト」と呼ばれる22歳の山本大斗がいる。

 愛称の〝かぶり〟について問われると、ふっと笑った。「僕は線香花火でいいんです」。派手さはないが、この夜、確かに打線に火をつけた。

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