筑波山や大型商業施設を背に青々と広がる水田に立つ鈴木秀史さん=2025年6月21日、茨城県下妻市、床並浩一撮影

 ロボット田植え機の導入や無人航空機ドローンによる施肥など、最先端の技術で飼料用米の単位収量を増やす取り組みが評価され、茨城県下妻市の農業、鈴木秀史さん(42)がこのほど関東農政局長賞を受賞した。就農から5年、コンテスト初出場での快挙で、本人以上に周囲が驚く。

 同県龍ケ崎市出身で、ガス会社に長年勤めた。下妻市出身の妻と結ばれ、東日本大震災後、米農家の義父母と同居を始めた。

 しかし、義父が2020年2月に急逝したことで、跡を継ぐことになった。30代での就農は想定していなかった。

 翌月にはガス会社を退職して脱サラしたものの、「何から始めたらいいのか」と視界は晴れなかった。「いつか継いでくれたら」との義父の思いを生前からくみ取っていたが、代々受け継がれてきた米づくりのノウハウを教わる機会もなかった。

 田植えの季節を前に、途方に暮れる暇もなく、義父が管理していた農地の所在確認から取りかかった。

周囲の支えでゼロから就農

 会社員時代は無縁だった市役…

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