2024年6月19日、平壌の錦繡山迎賓館の庭園を散策する金正恩総書記(右)とロシアのプーチン大統領。朝鮮中央通信が配信した=朝鮮通信

 ロシアのプーチン大統領は24年ぶりに北朝鮮を訪問し、金正恩(キムジョンウン)総書記と会談して、「包括的戦略パートナーシップ条約」に調印した。これを受け、国連安全保障理事会は6月28日、緊急会合を開いて対応を話し合うなど、国際社会は危機感を強めている。

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 ロ朝が結んだ新条約には、一方が武力侵攻を受けて戦争状態になった場合、「軍事的およびその他の援助を提供する」などと明記されている。そのため、旧ソ連と北朝鮮が1961年に結んだ「友好協力相互援助条約」にあった軍事的な自動介入条項が事実上、復活したのではないか、との指摘が専門家らの間で出ている。

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 61年の旧条約は、韓国と旧ソ連の国交樹立(90年)などを経て、96年に失効し、ロ朝はその後、2000年に軍事介入条項を削除した「友好善隣協力条約」に署名した。

 だがロ朝をとりまく国際的な状況のもと、新条約をつぶさに読むと、61年の旧条約との違いもみえてくる。公安調査庁で長年にわたり北朝鮮問題を分析してきた坂井隆氏は「今回の新条約が地域の安全保障環境へ与える悪い影響は大きいとは思えない。効果は限定的だろう」と指摘する。

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