米国の首都ワシントン近郊のレーガン空港付近で29日夜に起きた旅客機と米陸軍のヘリコプターによる衝突事故。付近の川に墜落した旅客機には64人が搭乗し、懸命の捜索が続いている。事故の原因として何が考えられるのか。航空機元機長や元陸将に話を聞いた。

米バージニア州のポトマック川沿いのレーガン空港近くで2025年1月29日、緊急車両が配置されていた=AP
  • 64人搭乗の航空機と米軍ヘリが衝突 首都ワシントン近郊、川に墜落

「衝突防止装置や管制ミスの可能性」 航空評論家の小林宏之さん

 情報は限られているが、事故の背景として二つのことが考えられる。

 一つは、米陸軍のヘリコプターに「空中衝突防止装置(TCAS)」が付いていなかった可能性があることだ。TCASは、航空機同士の衝突の危険性を知らせる装置で、民間旅客機には必ず備え付けられている。このため、民間機同士なら衝突することは考えられない。しかし、軍用機には付いていないことが多い。

 TCASがなければ目視での確認が重要になるが、事故は夜間だった。旅客機側も見えていなかった可能性があるし、ヘリ側も訓練中ということで、別のことに気をとられていたのかもしれない。

複数の要因が重なったか

 もう一つは、管制からの指示…

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