ホワイトボードを使って参加者の短歌を添削し、説明する佐藤孝子さん=2025年8月12日、宇都宮市本町、由利英明撮影

 朝日新聞宇都宮総局は12日、朝日新聞「栃木歌壇」選者の佐藤孝子さんを講師に、短歌の基礎を学ぶ記者サロン「短歌・基本の〈き〉講座」を開催した。10月まで6回開く講座の4回目。

 今回のテーマは「推敲(すいこう)と仕上げ」。佐藤さんは擬音語や擬態語を表す「オノマトペ」、特定の語を修飾したり語調を整えたりする「枕詞(まくらことば)」、数や人名といった「名詞」などの使い方や効果を解説し、「ワンランク上の表現のコツ」を伝えた。

 また、参加者が作ってきた短歌をホワイトボードを使って添削した。その一つが次の短歌。

 エアコンのいらぬ里より下野へエンマは住むか灼熱(しゃくねつ)地獄

 作者が以前、岩手県遠野市に住んでいたことから、佐藤さんはほかの参加者の意見も採り入れながら、次のように添削した。

 エアコンの要(い)らぬ遠野ゆ移り来し栃木の夏の暑さ厳しき

 ただ、佐藤さんは「短歌を作る上で大切なのは作者の気持ち。暑くてたまらないという思いに寄り添わないといけない」として、作者が使っていた「灼熱」を生かす次の短歌も示した。

 灼熱の栃木の夏に堪えかねてエアコン要らぬ遠野恋しき

 佐藤さんが「いかがですか」と尋ねると、作者は「とてもいいですね」と脱帽し、会場は和やかな雰囲気に包まれた。

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