語学の扉

 高級ブランド「ルイ・ヴィトン」のパリ本社で17年間、主に広報担当として活躍した藤原淳さん(48)がフランス語の本格的な勉強を始めたのは大学時代です。現在はパリを拠点に作家として活動しています。フランス語との出会いや、「パリジェンヌの独特な世界」を生き抜いた語学習得の秘訣(ひけつ)を聞きました。

 ――フランス語を学ぶきっかけは。

 高校3年生の選択授業がフランス語との出会いです。まるで詩を読むような独特な音色に美しさを感じました。「はじめまして」を意味する「アンシャンテ」は声に出すと美しい感じがしませんか? バレエでプロの道に進むことを目指していましたが、高校卒業時にあきらめました。大学に進み、バレエに注いできた情熱をフランス語に向けるようになり、必死に勉強を始めました。

 英国在住経験があり、英語は話せました。そのうえでフランス語を学び始めると、英米とは異なる文化や価値観がそこにありました。大学1、2年時は語学学校に通い、いくつもの教材を使って基礎をたたき込みました。分厚い仏和辞典を買い、1ページずつ暗記する勢いで読みました。単語の例文も一つひとつ音読し、紙に書いて覚えていく。教材をそのままのみ込んでいくような日々でした。

 そんな中、大学2年生でフランス語のスピーチコンテストで準優勝し、パリでの2カ月間の語学研修の機会をもらいました。欧州を中心に世界各地から学生が集まっていて、カルチャーショックを受けました。それが転機になりました。

しゃべってしまえば何とかなる

 日本人は語学について「完璧…

共有
Exit mobile version