本を読んで生きている
和歌山市の中心商店街「ぶらくり丁」かいわいに、本好きをうならせる選書で評判の書店「本町文化堂」があります。店舗2階にはイベントスペースを併設し、近くのミニシアターとタッグを組んで映画上映会や講演会なども催しています。店主の嶋田詔太さんが、オススメの本を通じて日常をつづります。
上原浩「純米酒を極める」
酒は純米、燗ならなお良し―。人に酒について聞かれれば、私はいつもそう話してきた。春だろうが夏だろうが、私は純米酒に割り水をかけて、ぬる燗にして飲む
親譲りの酒好きで、酒の味がうまくてたまらない随筆家の内田百閒だが、友人からうまい酒をもらったり、うまい酒をのませる店に連れていかれたりすることはありがたくないという。
内田百閒にとって酒のうまさとは、普段から飲みなれ、口になじんでいることが大切で、それよりもうまい酒だと味が変わって困るのだそうだ。
偏屈さが独特のユーモアになっている内田百閒らしい言い分だと思う。
もちろん、ここでいう酒とは日本酒だ。
内田百閒は紀行エッセーの中…