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12月4日、アンゴラの空港で迎えられたバイデン米大統領=ロイター

 バイデン米大統領が4日まで、アフリカ南部アンゴラを訪れた。米大統領がサハラ砂漠以南を訪問するのは2015年以来。米欧が投資する鉄道構想の重要性を訴え、存在感を強める中国に対抗する狙いがある。だが、バイデン政権はもう交代間際だ。当初は野心的な戦略を掲げたものの、アフリカ外交は後回しにしてきたのが実情だ。

 アンゴラは1975年の独立後も内戦が続き、最近まで軍需品の調達をロシア、インフラ整備を中国に頼ってきた。だが、近年は急速に米欧側に接近している。推進力になっているのが既存の鉄道を改修・延伸する「ロビト回廊」構想だ。アンゴラのロビト港からコンゴ民主共和国、ザンビアを結び、最終的にはタンザニアまで延ばして大西洋とインド洋をつなげる計画で、米国と欧州連合(EU)が昨年、開発支援を打ち出した。

 沿線地域は電気自動車(EV)や携帯電話の電池に使うコバルトなどの鉱物の産地。中国は「一帯一路」構想などを通じ、こうした地域への開発投資で影響力を拡大してきた。米側には、鉄道構想を通じて、中国との競争上も重要な鉱物を調達しやすい環境を整えつつ、経済貢献をアピールしたい思惑がある。

 米政権高官は記者団に「児童労働や汚職がつきものの中国による投資を受け入れるしかないのか……と迷っていた国々に、新たな選択肢を与える」と語った。

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