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 116年の歴史がある東京都立農業高校は、農業の担い手に加え、服飾や調理の分野でも多くの人材が輩出してきた。卒業生でフランス料理人の荒木真鈴(まりん)さん(25)は、若手料理人の国際コンクールで高く評価された一人だ。その背中を、在校生たちも追う。

高校思い出クリック~青春群像記~

 高校をシリーズで紹介する企画。今回は東京都立農業高校の1回目です。

 帝国ホテル東京のフランス料理レストランで働く荒木さんは、7カ月前、フランス・パリ中心街の高級レストラン「ルドワイヤン」にいた。フランス料理界を代表するシェフ、ヤニック・アレノ氏の店だ。

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国内のフランス料理コンクールで優勝した荒木真鈴さん。日本代表として出た国際大会で準優勝に輝いた=2025年5月14日午後3時54分、千代田区内幸町1丁目の帝国ホテル、山浦正敬撮影

 厨房(ちゅうぼう)を借りて試行錯誤した料理は、地元産牛フィレ肉のパイ包み焼きと、100%野菜のシューファルシ。日本代表として挑んだ若手料理人の国際コンクールの課題メニューだった。

 結果は準優勝。悔しさはあったが、「自信を持って料理を出せるようになった気がする。仕事への意欲も高まった」と振り返る。

 都立農業高校の食物科を選んだ決め手は、調理師免許がとれることだった。当時は都立で唯一、卒業と同時に取得できる高校だった。料理が好きで、食に携わる仕事に就けたらと漠然と考えており、「免許取得が将来に向けた目標の一つになる」と考えたという。現在も、卒業時に免許が取れる都立高は、同校と4年前に開校した赤羽北桜(北区)だけだ。

 調理実習には、複数の有名ホ…

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