器に盛られた1人分にも満たない食事。
ソルガムという穀物をお湯で練ったアシーダという食べ物で、本来は具やスープと一緒にいただくが、添えるものはなかった。
ゼイン・アルアブディーンさん(28)は、父親と分け合って食べていた。
「もうおなかいっぱいだ」。少しだけ口に運んだ後、父親は言った。
その言葉は、息子に食べさせようとするためのうそであることは明白で、ゼインさんは、「あなたが食べないと私も食べません」と返した。
厳しかった父親の優しい一面に接し、ゼインさんは胸が締め付けられそうになった。その気持ちを忘れまいと、食事を写真に収めた。
2023年4月、アフリカ北東部のスーダンで発生した、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」による武力衝突。それ以降、ゼインさんの日常は一変した。
命からがら逃げ、見ず知らずの家の扉たたいた
発生当時は、首都ハルツーム…