支援者から花束を受け取る日本原水爆被害者団体協議会事務局長の木戸季市さん(中央)=2024年10月12日午後2時27分、岐阜市、伊藤智章撮影

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞を受け、木戸季市(すえいち)事務局長(84)が12日、自宅のある岐阜市のホテルで会見を開いた。「会う人ごとに『おめでとう』と言われ、『ありがとう』と返すんだ。みんな知ってるよ」と笑顔を見せた。

 夢にも思っていなかったという。発表があった11日にテレビで知り、「あれっ」。一方で、2021年には核廃絶をめざす核兵器禁止条約が発効した。国際社会の潮流に受賞は「必然じゃないか」とも思った。

 5歳で長崎市の自宅付近で被爆。爆心地から2キロで、顔の半分を大やけどし、20メートル吹き飛ばされた。「あと1メートルで川に落ちて死んでいた」

 ウクライナ侵攻でロシアは「核の脅し」を強め、イスラエルの閣僚はパレスチナ自治区ガザへの核使用を示唆する発言をした。木戸さんは「指導者に発言を許す国民にも責任がある。ひとりひとりの人間が考えなければ」と訴える。

 「あなたはどう思うんだ」。会見中、記者にも何度も問いかけ、核をめぐる思考を迫った。

 17年から日本被団協事務局長。海外でも講演する。「ヒバクシャ、という言葉は世界的な言葉になっている」と実感する。同条約にも記された「ヒバクシャ」。いまだ批准しない日本政府に改めて条約批准を迫るという。(伊藤智章)

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