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写真・図版
国宝「七支刀」(奈良・石上神宮蔵) 通期展示

 奈良国立博物館で開催中の特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」(朝日新聞社など主催)。112件もの国宝(指定予定を含む)が一堂に会する中で、ひときわ高い人気を誇るのが奈良・石上(いそのかみ)神宮の七支刀(通期展示)だ。この不思議な形の「刀」はなぜ作られ、どのように伝わってきたのだろうか。

「六叉鉾」として伝来

 剣身の両脇から、にょっきりと。交互に生えた6本の枝刃はとても実用的とは思えないけれど、表裏に刻まれた金の銘文を読めばその異形ぶりに納得がいく。七支刀は古代アジア古代交流を物語る、唯一無二のアイテムだ。

 石上神宮に「六叉鉾(ろくさのほこ)」として伝来した。刀とはあるが、片刃ではなく両刃なので、剣という方がふさわしいだろう。

 一見して非実用品だが、では、その目的は権力を誇示する装飾なのか、聖なる宝器なのか。それとも祭祀(さいし)で使う宗教的な意味が込められているのか。答えは剣身の表裏に刻まれた60字余の金象眼文字にある。

 「泰和4年に百済王の世子(…

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