刀匠の河内國平さんによる七支刀の復元品=2025年5月13日、奈良県天理市布留町、今井邦彦撮影

 奈良県天理市の石上神宮(いそのかみじんぐう)で、神剣顕現150周年を記念した特別展「石上神宮と御剣」が開かれている。同神宮に伝わる名刀「小狐丸(こぎつねまる)」や、国宝「七支刀(しちしとう)」の復元品、ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」ゆかりの奉納剣などが参集殿で展示されている。

 同神宮の主祭神は、神宝に宿った三柱の神。その神宝の一つ、神剣「布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)」は、「古事記」「日本書紀」に登場する軍神・武甕雷神(たけみかづちのかみ)が携行した剣とされる。

 同神宮には拝殿背後の禁足地に神剣が埋まっているという伝承があったが、1874(明治7)年に禁足地が発掘された際、実際に鉄剣が玉類などとともに出土した。今回の特別展には、この時の勾玉(まがたま)や管玉などの「禁足地出土品」(国重要文化財)が展示されている。

 一方、七支刀は4世紀に朝鮮半島の百済からヤマト王権の大王に贈られた、六つの枝を持つ鉄剣。軍事をつかさどる豪族・物部氏の氏神だった同神宮で保管されてきた。

 本物の七支刀は現在、奈良市の奈良国立博物館で開催中の「超 国宝」展(6月15日まで)に出展中。同神宮では、刀匠の河内國平(くにひら)さんが2005年、鋳造で製作当時の姿を再現した七支刀の復元品が展示されている。13日の内覧会には河内さんも訪れ「これを作った時には何度も折れ、大変に苦労をしました」と20年前を振り返っていた。

 また、平安時代に刀匠が稲荷明神の使いの力を借りて鍛えたという伝説がある同神宮伝来の太刀「小狐丸」も公開。実際には鎌倉時代の刀とされ、県指定文化財となっている。

 3本の剣「天」「地」「人・天長地久」は、擬人化された刀剣が活躍するゲーム「刀剣乱舞ONLINE」の製作会社・ニトロプラスのプロデュースで21年、刀匠の宮入法廣さんが作った。「人」は同神宮に奉納され、他の2本は同社が所蔵。3本そろって展示されるのは初めてとなる。

 道上昌幸宮司は「これらの刀剣や玉は人々の祈りが形となって伝えられてきたものであることを、神宮の空気の中で感じていただければ」と話している。

 特別展は20日まで。午前10時~午後5時(最終入場4時)。拝観料1500円(小学生以下無料)。問い合わせは同神宮(0743・62・0900)へ。

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