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 大阪・関西万博で人気が高い「大屋根リング」をどこから見るか。1周2キロの世界最大の木造建築物は、下からでも上がってでも絵になるが、EXPOナショナルデーホール「レイガーデン」から意外な眺めを楽しめる。

 レイガーデンのつづら折りのスロープを上がると、一番上は高さが18メートル。リングの外側の高さ20メートルにほぼ並ぶ。ユスリカが群れていることがあるが、目の前に格子がずらりと並び、シンプルなのに見飽きない。

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レイガーデンから望む大屋根リング=2025年5月7日午後、大阪市此花区、伊藤進之介撮影

【撮影ワンポイント】レイガーデンから望む日没直後の大屋根リング

好天の夕方に撮影した。レイガーデンのデッキは風が強く肌寒いが、訪れる人が少なくとても静か。大阪湾の穏やかな水面を見ながら、日没を待つ時間は長く感じたが、日が沈むと空の色は劇的に変化した。リングの上端と遠く北方向の北摂の山際にわずかに残ったピンク色の夕焼けは、すぐに濃紺色に変化する。その一瞬を狙い撮影した。

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 リングの建設は、ゼネコン大手の大林組、竹中工務店、清水建設がそれぞれ中心になって分担した。スロープから見て、右は大林組、左は清水建設が手がけた。

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大屋根リング(右)とレイガーデン=2025年5月7日、大阪市此花区、伊藤進之介撮影

 大林組の柱と、それらを横につなぐ梁(はり)は、福島県浪江町(なみえまち)から来た。町は2011年の東日本大震災で津波に襲われ、東京電力福島第一原発の事故で放射線の被害を受けた。復興に向け、新しい産業を起こそうと、丸太をスライスして貼り合わせる集成材工場を建てた。そこでスギやヒノキを加工したものが使われている。

 工場の運営に携わる朝田英洋…

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