大阪・関西万博の会場で5月11日に吹奏楽のギネス世界記録への挑戦が予定されている。1万2千人以上で隊列を組んで奏でる世界最大のマーチングへの挑戦だ。
演奏者の中には、小学生だった1970年に大阪万博で演奏し、感じた「未来」を信じてプロの音楽家になった男性がいる。
今回、共に挑む子どもたちにも、大舞台の体験が夢への原動力になることを知ってほしいと願う。
ロボットから飛び出したあの日
赤いブレザー姿で演奏する子どもたちに交じって、トロンボーン奏者の中井幸一さん(68)は、楽しそうにファンファーレを奏でた。
4月13日、大阪・関西万博の会場での大阪ヘルスケアパビリオンの開幕イベント。響き渡ったのは70年の万博が開幕した時と同じファンファーレだ。中井さんにとって55年ぶりとなる万博会場での演奏。「タイムマシンに乗っているような気分。時間の隔たりを感じない」と感慨深げだった。
中井さんは70年万博の開会式で、テューバを担った。当時、吹奏楽に力を入れる大阪府池田市の呉服(くれは)小学校の6年生。55年越しの万博で一緒に演奏した子どもたちは、その呉服小の「後輩」だ。
あの時のことは忘れない。
万博会場の「お祭り広場」で…