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 「カームダウンルーム」という言葉を聞いたことはあるだろうか。光や音などの刺激で体調が悪くなる感覚過敏の人らを落ち着かせるための場所のことだ。大阪・関西万博会場ではいたる所で見られる。近年徐々に普及してきた空間だが、当事者にとって利用しやすいものなのか。自身も感覚過敏がある有識者の視察に同行した。

 カームダウンルームは、感覚過敏の人のほか、発達障害や知的障害、認知症などの人が気持ちを抑える空間。2021年の東京五輪・パラリンピックを契機に、国内の交通や公共施設などで広がりつつある。今回の万博では、日本国際博覧会協会が性別や障害などに関わらず世界中の人が利用しやすい「ユニバーサルデザインガイドライン」を策定。光や大音量などの演出があるパビリオンにはカームダウン・クールダウンルームの設置を求めた。

 5月中旬、万博会場を訪ねたのは「感覚過敏研究所」(東京都)の所長、加藤路瑛(じえい)さん(19)。自身の困りごとでもある感覚過敏の課題解決に取り組む事業を13歳で立ち上げ、感覚過敏の人たちのための商品開発や情報発信をしている。幼少時から、音やにおいに敏感で、電車の中で具合が悪くなって動けなくなるなどの経験があった。

写真・図版
「感覚過敏研究所」所長の加藤路瑛さん

 まず視察したのは東ゲートの…

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