「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開幕した大阪・関西万博では、先端技術や新しい映像体験が話題を呼んでいる。一方、同じく重要な「展示」といえるパビリオンなどの建築や会場のデザインでは、プレモダン(前近代)的な要素が目立つ。こうしたデザインは「生命」や「未来」を描けているのか。

 会場で圧倒的な存在感を見せているのが、言うまでもなく一周約2キロ、高さ約20メートルの巨大木造建築、大屋根リングだ。京都・清水寺の舞台に通じる伝統構法を用いて太い柱とはりで建造。青森市の三内丸山遺跡で復元された掘立柱建物を連想する人もいるだろう。つまり前近代的で、土俗的なデザインといえる。

大阪・関西万博の大屋根リング=9日、大阪市此花区

 リングの内側の各パビリオンも、壁面が映像モニターだったり、球体を頂いたり、と斬新な造形がある一方、むしろ木や竹などの自然素材をまとった、やはりどこか土俗的な姿が目立っている。

 これは、55年前とは大きく…

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