大阪・関西万博の海外パビリオンの工事費が「未払い」だと訴えている工事業者らが15日、万博を主催する日本国際博覧会協会に公開質問書を提出した。協会が「未払いは民間企業同士の問題だ」としていることに異議を唱え、22日までの回答を求めている。
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質問書を提出したのは、アンゴラ館の下請け工事業者と、NPO法人「労働と人権サポートセンター・大阪」(大阪市)。
協会が策定している「人権方針」では、万博事業が人権への負の影響を引き起こしていれば、その救済に取り組むと明記している。
質問書では、ビジネスと人権に関する国連の指導原則の「主要な人権リスク類型」として賃金の未払いが挙げられていると指摘し、労働力の対価が支払われないのは人権侵害だと主張。
現在の万博の盛況は、工事の対価が支払われないという「許しがたい人権侵害」に支えられている、と訴えた。
開幕に間に合わせるという「至上命令」のもと、体をなげうって働いた人たちの救済を放置するのは許されないとし、救済措置の検討状況などを質問している。
法の遵守、確認したのか
また質問書では、アンゴラ館では協会が工事許可などの権限を持っていたにもかかわらず、突貫工事のために長時間労働や連続勤務が生じていたと主張している。
その上で、アンゴラ館の内外装工事などで労働基準法や労働安全衛生法が守られているか、協会が確認したことがあるのか尋ねている。
工事業者の男性は15日、大阪市内で開いた会見で、「(協会は)いまだに民間同士の話だとして、状況が進んでいない。これをくつがえさないと、何も改善しない」と話した。
一方、協会の石毛博行事務総長は14日の記者会見で、「事業者からの相談を受け、親身に応じている」と説明。「権限ある行政当局のもとに作られた紛争処理の仕組みの中で、1件1件対応していくのが必要だ」と話した。
未払いに苦しむ業者らは5月、「被害者の会」を発足。未払いの要因はさまざまだが、アンゴラ、マルタ、中国、セルビア、ドイツ、ルーマニア、米国、インドの計8カ国のパビリオン工事に関わった業者が、被害を訴えているという。