夕暮れ時、大阪・関西万博の大屋根リングではユスリカと思われる虫が大量に飛んでいた=2025年6月7日午後7時15分、大阪市此花区、恒成利幸撮影

 大阪・関西万博を主催する日本国際博覧会協会が、自然との調和をめぐり、難しい判断を迫られている。「いのち」をテーマにする中、大量発生している羽虫「ユスリカ」の駆除に着手。会場内からは指針値を超える「レジオネラ属菌」も検出された。薬剤を使った殺虫などの対策には、掲げる理念との「矛盾」も指摘されており、手探りの対応が続いている。

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 万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。それを体現するため、八つのテーマ事業パビリオンを出展。例えばアニメ監督の河森正治氏のパビリオンのテーマは「いのちを育む」で、「宇宙・海洋・大地に宿るあらゆるいのちのつながりを感じ、共に守り育てる」ことをうたっている。

殺虫剤散布 人間の「いのち」だけ?

 だが、開幕すると、会場内では蚊に似たユスリカが大量発生。万博のシンボル・大屋根リングに張り付くなどして、来場者からは「不快だ」「気持ち悪い」との声が上がった。

 発生源とみられる会場南側の…

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