しょうゆ、みりん、日本酒、みそ――。発酵食品の製造が盛んな千葉県は、27日から5日間、大阪・関西万博に、発酵の魅力を国内外に発信するブースを出展している。なぜ千葉で「発酵」が盛んなのか。中でも全国1位の生産量を誇るみりんが千葉に根付いた歴史とは。
「マンジョウ 本みりん」。聞いたことがある人は多いのではないだろうか。商品のペットボトルには、製造者に「流山キッコーマン株式会社」と記載がある。
マンジョウは漢字で書くと「万上」。千葉県北西部の流山市にある醸造業のブランドだ。「万上」は、同じく流山市発祥で現在は市外で製造されているブランドの「天晴(あっぱれ)」とともに、明治6(1873)年のウィーン万博に出品され、「有功賞牌」を授与された。
みりんに活路? 酒造りからの転換
では、なぜ流山でみりんなのか。
「酒造りから転換した」と解説してくれたのは、著書「流山みりん物語」があり、流山市立博物館長を務めた川根正教さん(74)。
江戸時代の一時期、米の不作などを受けて醸造量が限られたため、幕府は関西から関東への清酒運搬を制限した。その間、関東では独自に酒造りを始める事業家が出た。「万上」もその一つだった。
しかし、米が豊作になると、状況が変わった。再び関西の酒が江戸に運べるようになると、流山の酒造は衰退する。「味はかなわなかったのでしょうかねえ」と川根さん。
みりんは、もち米・米、米こうじ、焼酎を混ぜ、時間をかけて熟成させる。その結果、豊かな甘みやうまみが生まれる。
「万上」の当主らは、清酒と…