三井住友信託銀行で業務を通じて知った企業の未公表情報をもとに株取引をした疑いがあるとして、証券取引等監視委員会は24日、同社の証券代行営業第2部の片山肇・元部長(55)=懲戒解雇=を金融商品取引法違反(インサイダー取引)の疑いで東京地検特捜部に告発し、発表した。
発表などによると、片山・元部長は、企業に代わって顧客の株主名簿を管理する証券代行営業第2部で次長や部長を務めた2022年12月下旬から24年8月上旬、業務で知った株式公開買い付け(TOB)情報が公表される前に3銘柄の2万5900株を計約3210万円で買い付けた疑いがある。一連の取引で少なくとも計約2900万円の利得を得た疑いがあるという。
三井住友信託銀行は告発を受け「株主をはじめとする関係者に多大なご迷惑をおかけしており、深くおわび申し上げます。高い倫理性と自己規律を要求される信託銀行として、信頼の回復は極めて重大な課題として受け止めております」とコメントした。
この問題は元部長が24年10月に社内で自主申告して発覚。監視委が今年2月、元部長の自宅などを強制調査していた。