田辺三菱製薬の本社=大阪市中央区、2021年12月

 化学大手の三菱ケミカルグループが、医薬品子会社の田辺三菱製薬の売却も選択肢に入れていることを明らかにした。医薬品事業は開発費が膨らみがちで、主力の化学事業との相乗効果を出すのが難しいとみているようだ。

 9日、三菱ケミカルが田辺三菱製薬を売却する準備を始め交渉の初期段階にあるとする一部報道に対し、同社は「当社が発表したものではなく、そのような事実はない」とするコメントを発表。その上で「医薬品事業を含めた全ての事業を対象に、グループ全体の事業ポートフォリオのあるべき姿に関して継続的に検討をしており、売却を含めたあらゆる選択肢を念頭に置いてポートフォリオ改革を推進している」と表明した。

 三菱ケミカルは、世界的な脱炭素の流れを踏まえ、石油化学コンビナートの再編を含む事業の再編を進めている。

 三菱ケミカルはポートフォリオの見直しなどの経営方針について11月中旬に発表する予定にしている。

 三菱ウェルファーマと田辺製薬が2007年に合併して発足した田辺三菱製薬は、20年に三菱ケミカルホールディングス(当時、現三菱ケミカルグループ)の完全子会社になった。田辺三菱は23年、海外子会社を通じて進めていた新型コロナウイルスのワクチン開発から撤退し、多額の損失を計上した。(山本精作)

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