三菱創業者の岩崎弥太郎の長男で三菱財閥3代目社長の岩崎久弥(1865~1955)が晩年を過ごした千葉県富里市七栄の旧岩崎家末広別邸の主屋が、26日から一般公開される。末広別邸は市内唯一の国登録有形文化財で、市が公開に向けて修復を進めてきた。没後70年目の「復活」となる。
市教育委員会生涯学習課によると、末広別邸は、久弥が経営した末広農場内に昭和初期に建てられた主屋、東屋(あずまや)、石蔵(いしぐら)の総称。第2次世界大戦まで、国内の農牧事業を先導した末広農場の歴史を伝える貴重な建物群だ。23日、報道機関を対象とした内覧会があった。
いずれも木造平屋建てで、主屋(1927年ごろ築)は建築面積491平方メートル。別荘風の外観で中庭を持つ。外周全面に用いられたガラス障子の意匠が特徴的だ。
東屋(昭和初期築)は建築面積49平方メートル。軽快な御茶屋風で、当初のままと思われる洋風家具が置かれている。石蔵(同)は建築面積22平方メートルで、外壁は木軸の外周に大谷石を壁厚360ミリでぐるりと積みまわしている。東屋は2020年から一般公開され、石蔵は老朽化で立ち入りを禁じている。
三菱社長から農場経営へ
久弥は現在の高知県安芸市で生まれた。1893年に叔父で2代目の弥之助を継いで3代目になった。
富里で1912年、先進的設…