15年ぶりに写真集を発売した上戸彩さん=小松隆次郎撮影

 俳優の上戸彩さん(39)が今年、デビューから25年の節目を迎えた。今月10日には15年ぶりとなる写真集「Midday Reverie(ミッドデイ・リヴァリー)」(宝島社)を発売。3人の子どもと過ごす時間を大切にしながら、俳優として新たな境地に挑もうとしている。

写真集「どうして今?」

 上戸さんは、写真集のオファーを受けたときの気持ちを取材にこう明かした。「どうして今? 私の写真集を手に取ってくれるの? そんな疑問と不安の方が大きかった」

 前作の写真集から15年がたち、自身は、年齢やデビューから何年といった節目をあまり意識していなかった。それでも「このタイミングで形にしてもらえるのはありがたい」と引き受けたという。

 昨年10月の台湾ロケは、台風の影響で予定より1日短い日程になったが、逆に撮影チームのモチベーションは上がった。「いま撮れるものを、いま撮れる衣装でできることをやりましょうみたいな空気がすごく楽しかった」という。

「お芝居のスイッチを…」

 気がかりだったのは、日本に残してきた長女、長男、次男だ。出発前は寂しがっていたが、テレビ電話で毎日話して乗り切った。これまでも俳優の仕事を続けつつ、家族との時間を大切にしてきた。

 「子どもたちが成長していく過程は今しか見られないから。仕事があっても、できるだけ子どもたちと一緒にご飯を食べ、一緒に寝たい。『ママじゃないと安心感が得られないような時間』をつくりたい」

 デビュー25年を迎え、育児と両立しながら俳優の仕事とどう向き合うのか。

 「『お芝居のスイッチ』を入れたくなってきた。最近は普段の自分と近い役が多かったので、『化けるような役』をやりたいという願望はある」

上戸彩さんのインタビュー詳細

 15年ぶりに写真集を発売した理由、結婚と出産を経験した後の仕事への向き合い方……。上戸彩さんがインタビューでたっぷりと語ってくれました。

――15年ぶりに写真集を出すことになった。

 「写真集を出しませんか?」というお声がけをいただいて、どうして今なんだろうって。今、私の写真集を手に取ってくれるんだろうか、という疑問と不安の方が大きかったです。

 それでも、お話があるうちにと引き受けました。年齢とかデビューから何年とか、節目に敏感ではない方なので、このタイミングで形に残してもらえるのはありがたいと思いました。

――写真集のロケは台湾で行われた。

 数十年ぶりの大型台風が近づいて、もう1日滞在すると3~4日は帰れなくなってしまう状況でした。その結果、帰国予定を1日前倒しする強行日程になりました。

 でも逆にみんなの心に火がついたというか、撮影チームにとってすごくいい方向に動きました。いま撮れるものを、いま撮れる衣装でできることをやりましょう、みたいな空気がすごく楽しかったです。

台湾からテレビ電話で

――15年前と違って3児の母親に。状況の変化は撮影に影響した?

 写真集公式X(旧ツイッター)でお見せしている写真集のオフショットに、ランタンの写真があります。「家族のみんなの幸せを願う」という意味がある「幸福美満」という言葉を、ランタンに書いて気球で空に飛ばしました。

 子どもが3人いて、一番下(次男)は当時1歳半ぐらいだったのかな。何日も家を離れるということは、私の生活スタイル的にありえなかった。でも、そのころは「台湾(の距離)なら」と離れられると思えたタイミングで、家族が「行ってきなよ」と言ってくれました。そんな家族への感謝の気持ちを込めました。

――家を離れるにあたって家族の反応は?

 2番目(長男)はメソメソしちゃって……。私が「飛行機に乗るの怖いからママに宝物持ってきて」って長男に言ったら、いきなり笑顔になって、ミニカーのボックスを開けて自分の好きな車を預けてくれました。

 台湾からテレビ電話をしていましたが、東京で楽しく過ごしていることが伝わってきて安心しました。夜市が見たいと言うので、そこからも電話しました。長男は繊細なので、今回は大きく成長できたと思います。

「自分の居場所」に感謝

――この15年で結婚も出産も。仕事に対する意識は変わった?

 ピークで働いているときは、結婚するとお仕事も半減するし、出産したらもう仕事なんてほぼないんだろうなと覚悟していました。

 でも育児優先の中で制限がありながらも、(ドラマなどに)起用していただけたり、今回のように15年ぶりに写真集の話をいただけたり、自分の「居場所」を用意してもらえていることに感謝しています。

 そして、何事も自分次第だなと感じます。俳優の仕事をもっとやりたいと思っている一方、優先すべきことは、自分で選ばなければいけません。私は子どもたちが成長していく過程は今しか見られないと思っていて、それを大切にしています。

 やりたい仕事があった時は、その仕事を得るために一生懸命がんばればいい、と思っています。いまどうしたいかは、自分次第で決まるのかなと思います。

――写真集の海外ロケを通じて生活に変化が?

 「1泊なら離れられるのかな?」とか、探り探りな感じではあります。子どもたちにはなるべく寂しい思いをさせたくないし、お仕事があってもできるかぎり子どもと一緒にご飯を食べたいし、一緒に寝たい。難しい日もありますが、「ママじゃないと安心感が得られないような時間」は自分でつくってあげたいと思っています。

「ファンとの交流」にドキドキ

――俳優デビューから25年。ファン層も広がった。

 それは正直わからないのですが、本当に今回の写真集を手に取ってくれる方がどれくらいいるんだろうと不安ばかり。それでも(写真集の)お渡し会のチケットが即完売したというのを聞いて、うれしさよりも安心しました。

 デビュー当時のファン層は、男性がほぼ9割でしたが、ドラマや映画にたくさん出させていただくなかで女性も増えました。今はファンの方々との交流の機会がほとんどないので、今回久しぶりの交流の機会にドキドキしています。昔よく会いに来てくれていたファンの方にも会えるんじゃないかな。それがすごく楽しみです。

――今後はどんな仕事を?

 いままで本当に育児優先で「お芝居のスイッチ」というのを入れることが怖かったんですけど、逆にスイッチを入れたくなってきました。最近は普段の自分と近い役が多かったので、「化けるような役」をやりたいなという願望はあります。生活とお仕事のスケジュールがうまく合えばいいんですけどね。

PROFILE

◆上戸彩(うえと・あや) 1985年9月14日生まれ、東京都練馬区出身。97年に「第7回全日本国民的美少女コンテスト」審査員特別賞を受賞して芸能界入り。2000年にドラマ「涙をふいて」で俳優デビュー。ドラマ「3年B組金八先生」「半沢直樹」など多くの作品に出演し、映画「シャイロックの子供たち」で第47回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した。9月26日公開予定の映画「沈黙の艦隊 北極海大海戦」に出演する。現在は3児の母親でもある。

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