美人画の大家として、近年も繰り返し展覧会が開かれている上村松園(1875~1949)の生誕150年を記念する大規模な回顧展が、大阪市北区の大阪中之島美術館で開かれている。13日から始まった後期展示では、共に重要文化財の「序の舞」(1936年、東京芸術大学蔵)、「母子」(1934年、東京国立近代美術館蔵)の代表作がそろって展示され、女性画家のパイオニアだった松園のすごみを感じることができる。
「期間中、『序の舞』を見ることができますかという問い合わせを受け続けました。ようやく展示することができます」
内面にひそむ強い意志を表現
展覧会を担当した小川知子主任学芸員はそう話す。松園が61歳の時の作品で、文部省美術展覧会(文展)招待展に出品して政府買い上げになった。自身も「何ものにも犯されない、女性のうちにひそむ強い意志を、この絵に表現したかった」と語っており、松園芸術の完成形だという。小川さんは「着物は夕焼けのような朱色で、彩雲の模様が夕暮れ時の空のような表現に。帯もすごく華やかで、昭和初期の着物と帯を描いている。松園が目指したのは、心の強く、しっかりとした品格のある女性。この絵がまさにそうです」と話す。
松園は、現在の京都市下京区に上村家の次女として生まれた。父が2カ月前に亡くなり、母の仲子は女手一つで2人の娘を育てた。
後期展示のもう一つの目玉と…