Smiley face
写真・図版
下津諒悟さんが復活させたハブ毛=2025年4月18日、大阪府吹田市、保坂知晃撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 日本の自転車史をひそかに彩るグッズがある。「ハブ毛」という、車輪の軸(ハブ)に巻き付けられていたカラフルなブラシのことだ。愛知県にあった唯一の製造業者が生産を終了した後、2022年に大阪の自転車愛好家が自腹で復刻した。あれから3年――。この春には、専用販売サイトがオープンし、ハブ毛の歴史が新たな局面を迎えている。

 ほんのりと昭和の風情を醸すハブ毛。その用途はハブの清掃用とも装飾用とも言われる。

 愛知県津島市の「三優商会」が唯一の製造業者だったが、2021年ごろに生産を終了。自転車部品コレクターの下津諒悟さん(36)=大阪府=が日本の自転車文化の消滅を惜しみ、茨城県内のブラシ製造業者に依頼して自腹で復刻した。

「レインボーハブゲカップ」開催へ

 それから3年――。もうけは度外視で計700本ほどを売ったが、個人の商いには限界があった。紫外線に強い、毛が抜けにくいなどの耐久性にもこだわったため「モノが良すぎて、まったくへたれない」(下津さん)。その結果、買い替えの需要がほとんどないという誤算もあった。

 「このままでは日本の自転車文化を残すことは難しい」。下津さんが助けを求めたのは、都内で経営コンサルをしている山岡正樹さん(36)。山岡さんは10年来の自転車仲間の熱い思いを聞いて快諾。本業の知見を生かして販路拡大とブランディング戦略を練った。

 英語と日本語を操るバイリンガルである山岡さんは、海外のメディアやSNSのインフルエンサー、自転車愛好家のコミュニティーなどに売り込みを展開。4月に販売サイト「レインボーハブゲジャパン」(https://rhj.base.shop/別ウインドウで開きます)をオープンした。

 ハブ毛は少数生産で物価高騰もあり、2本セットで5500円(税込み)。決して安くはないが、わずか3日で用意した50本を完売。国内外に広がるハブ毛の潜在需要に驚いたという。今後は定期的な生産にシフトし、年間1千本の販売を目標にしている。「達成できなくても、おもしろいからいいかな」と下津さん。

 ほかにも、ハブ毛カラーの洗車ブラシ、キーホルダーなどの関連商品や、下津さん自身を神格化し「ハブ毛大明神」という御朱印までつくった。

 ブランディングのため、京都市内で今秋開催される自転車レースの協賛も申し込んでいる。

 レース名は「レインボーハブゲカップ」とする予定だ。

たどりついた「馬の毛」、ハブ毛史上最高の…

 ハブ毛はいつから存在していたのか――。そのヒントの一つが、「自転車のまち」の堺市にある「シマノ自転車博物館」に展示されていた。

 堺市が1936(昭和11)…

共有