不作の今年も多く実った「やまがた紅王」=2025年6月19日、山形県東根市、斎藤徹撮影

 サクランボの収穫量が激減したことを受け、山形県は8日、初めてとなる「山形さくらんぼ産地再生会議」を開いた。生産者や農協、産地の自治体の代表が、「さくらんぼ県」を将来も維持していくための方策を話し合った。

 全国の生産量の7割を占める県産サクランボだが、今年の収穫量は8500トン程度で平成以降で最低の見通し。昨年(8590トン)に続く凶作となった。

 特に主力品種の佐藤錦が不調だった。開花期に強風や降雨、低温が続き、受粉に必要な蜂が飛べなかったため、実がつかなかった。さらに、ついた実も雨で割れたり、高温でやわらかくなったりした。

 この日の議論の中心になったのが「佐藤錦からの脱却」だ。1988年に品種別生産量で缶詰用のナポレオンを抜いて以来、「サクランボの王様」の地位を築いてきたが、高温や降雨に弱く、単独品種同士では結実に必要な受粉ができない。

 参加者は「気候変動で今後も高温が予想される中、生産が不安定な佐藤錦からの品種転換を進める必要がある」との意見で一致した。

不作の今年も多く実った「やまがた紅王」=2025年6月13日、山形県天童市、斎藤徹撮影

 県は「紅秀峰」や「やまがた紅王」の栽培面積を増やし、10年後の2035年には佐藤錦の割合を現在の68%から50%に減らす目標を掲げた。

 紅秀峰は佐藤錦の子、やまが…

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