無観客開催となった東京五輪では、当初の「復興五輪」の理念はかすみ、多くのボランティアが活動の場を失い、「不完全燃焼」に終わった。ただ、観客の歓声が再び戻ってくるパリ五輪に向け、3年前の当事者たちの思いは生きている。
「デリシャス」発言に救われた生産者
「ホテルで福島のモモを6個食べた。デリシャスだった」
東京五輪ソフトボールの米国代表監督の発言は、福島市であった試合後の記者会見で出た。監督が自身のSNSでも、この発言を発信したことで拡散され、翌朝にはツイッター(現・X)のトレンドワードのランキングに「福島の桃」が入り、市内の吾妻一夫さん(76)の果樹園には「監督がおいしいと言ったモモを買えますか」といった注文が全国から入った。
13年前の東京電力福島第一…