刑事デジタル法案(刑事訴訟法等改正案)をめぐり、衆院法務委員会で9日、質疑が行われた。オンラインを通じたデータの差し押さえを可能にする「電磁的記録提供命令」について、不服申し立てが認められても、捜査当局が差し押さえたデータは削除されないことが明らかになった。
不服申し立ては、適正手続きを担保するための重要な規定で、提供命令を受けたIT事業者や事件関係者が、裁判所に命令の取り消しや変更を請求できると定められている。しかし、申し立てが認められた際の対応について、法務省の森本宏刑事局長は「(データの)返還には応じるが、一律に削除するという取り扱いは想定されていない」と答弁した。
質問した立憲民主党の米山隆一氏は「不服申し立ての意味がない」と指摘した。
提供命令には期限を切らずに秘密保持命令を付けることも可能で、クラウドなどを管理するIT事業者が無期限の秘密保持付きで提供命令を受けた場合、情報の所有者は提供を知り得ない。このため、個人が不服申し立ての権利を行使できないケースが多いとの問題も指摘されている。
パスワードの解除強制も可能
この日の審議では、端末やデ…