Smiley face

樺沢和佳奈、パリへの挑戦 前編

 3年前の春、「東京五輪」に参加した。不本意な形で。

 群馬県太田市の陸上競技場。東京五輪の聖火ランナーだった樺沢和佳奈(25)は、トーチを片手に小走りし、笑顔でスタンドに手を振っていた。

2021年、東京五輪の聖火リレーを走った樺沢和佳奈=本人提供

 当時、慶応大4年生。視線の先では、高校時代の恩師や校長先生たちが見守っていた。駅伝の強豪、常磐高にいた頃に毎日のように練習したグラウンドだった。

 聖火ランナーには、母に後押しされて応募した。身にまとったのは専用の白い長袖と長ズボン。ゆっくりと走るようにスタッフに言われ、思った。

 「思っていたユニホームと違うな。なんでこんなにゆっくり走っているんだろう」

 あの表情は作り笑顔だった。

 高校時代、東京五輪には選手…

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