約247億円の不正融資が発覚した福島県のいわき信用組合で、不正に捻出された資金の一部が職員によって引き出され、信組本店内で現金で保管されていた疑いがあることが関係者への取材でわかった。同信組では多額の使途不明金があり、現金で管理する手法が温床になった可能性がある。
いわき信組の第三者委員会が5月に公表した調査報告書によると、同信組は、預金者の名前を無断で使って口座を開設し、不正に融資していた。複数の信組関係者によると、不正融資の一部は職員によって店舗で現金でおろされていた。現金は本店幹部が管理し、不正融資の際に使う顧客の名前が書かれた印章と一緒に、本店内で保管していたという。
関係者によると、第三者委の調査でも、数百万円の現金が本店内で保管されていたことが確認された。第三者委は、こうした現金の多くは、利払いの期日が来た別の不正融資先の口座にATMから入金されたとみているという。
第三者委は報告書で、不正融資約247億円のうち220億円程度が、経営難の大口融資先への融資の返済にあてられ、顧客に無断で作った口座の利払いに5.3億~6.8億円が使われたと推計した。合わせて計約225億円が信組に還流したことになる。
10億円程度「行方が全く明らかになっていない」
報告書は残る21億~23億…