スクールソーシャルワーカーを交えて学校で懇談する、子どもが不登校の保護者たち。学校からの情報にメモを取る人もいた

 不登校の子を持つ保護者が、心労から気持ちが落ち込む、仕事を辞めざるを得なくなる――。不登校の小中学生が35万人に迫り、過去最多となる中、そんな実態が広がりつつある。支援が乏しい親の孤立を防ぐにはどうすればいいのか。学校と保護者が連携する新しい取り組みも始まった。

「最初が肝心」が逆効果

 埼玉県の40代パート女性の次女は、小1だった3年前の夏休み明けの朝、「学校に行かない」と宣言した。理由は説明できないようだった。

 その日は仕方なく学校を休ませ自分の職場に連れて行ったが、翌日以降は励ましたり、しかったりして何とか学校に行かせた。休むのが習慣化しないよう、「最初が肝心」と心を鬼にした。

 次女の状態は悪化した。かんしゃくを起こして物を投げ、女性をたたいた。「大っ嫌い」「みんな死んじゃえ」と暴言を吐く、風呂には数日に1回しか入らない、歯を磨かない。「生活習慣を身につけるべき年齢なのに」。女性は不安でどうにかなりそうだった。仕事は週2日に減らさざるを得なかったのもこたえた。

 登校を強いるのをやめ、フリースクールなど学校以外の居場所を探した。インターネットで検索しては、「やってみる?」と聞いた。だが、全て拒否された。思えば、無理に登校させたことで関係が悪化し、不信感を抱かせてしまっていた。

 あるとき、不登校保護者が情報交換する「親の会」に参加。不登校生の保護者の体験談を聞き、子どもの心が回復して活動し始めるまで時間がかかることを学び、まずは家で好きなことをさせることにした。ゲームや編み物、お菓子作り。少しずつ、笑顔が増えていった。小3になった昨年、定期的にフリースクールに通えるようになった。女性は「保護者向けの支援情報が得られず、親の会にたどり着くのに時間がかかった。もう少し早く相談ができていれば……」と話す。

子どもと仕事の間で揺れる心

 福岡県の女性(46)の中学…

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