不登校の小中学生のうち、学習などの支援拠点である「教育支援センター」に通う子らについて、文部科学省が10日、個々の状況に応じて個別に学習計画を立て、それに基づいた評価ができる新たな仕組みを作る方針を示した。ただし、具体的な制度設計の議論はこれからで、課題も多い。
「息子の頑張りを評価してもらえるなら、うれしい」。東京都の区立中学1年の男子(13)を持つ母親(43)は言う。息子は小学5年の3学期からクラスに入りづらくなり、以来、通学していない。だが最近、校外の教育支援センターで小学校の復習に取り組み始めた。「息子に合ったカリキュラムで評価してもらえたら励みになる」。母親は今回の文科省案の実現を期待する。
10日にあった中央教育審議会(文科相の諮問機関)の教育課程企画特別部会では、大学教授らの委員から「該当する生徒の学習に対するモチベーション、学ぶ意欲を高める契機になることは間違いないだろう」「全国各地で今苦しんでいる子供たちにとって、とても希望になる提案だと思う」など文科省案を後押しする意見が相次いだ。
不登校の小中学生は過去最多を更新し続けている。文科省の調査によると、2023年度に30日以上小中学校を欠席した不登校の子は34万6482人に上った。
こうした状況に対し、文科省は23年、不登校支援のプランを発表。不登校で学びにアクセスできない子をゼロにする目標を掲げ、特別の課程で教育する「学びの多様化学校」や、教育委員会の「教育支援センター」、校内の居場所や学びの場を増やす政策を進めてきた。今回の案も、その延長線上にある。
だが、この案を実現するにはハードルもある。
制度実現に向け、様々な課題とは
まず、子どもの受け入れ場所…