不登校の子どもと保護者を支えようと、長野県の諏訪地区にあるフリースクールや「親の会」などの民間団体が、地区の6市町村の教育委員会とネットワークを組んで活動を始めた。当事者を支援する冊子をつくり、諏訪市で9日、活動を紹介するフェアを開いた。
冊子「学びの支援サポートブック よりそう」はA4判で20ページ前後。2024年11月に完成した。諏訪地区(岡谷、諏訪、茅野、下諏訪、富士見、原の6市町村)のフリースクールや子どもの「居場所」について、活動内容や連絡先を一覧にまとめた。冊子は市町村ごとに6種あり、自治体内の支援活動を詳しく紹介するページもある。
冊子の編集では民間の支援団体と教委が意見を出し合い、子どもや保護者の心情に寄り添えるように工夫した。
「学校から帰ってくるといつも疲れている」「ゲームやSNSに没頭して昼夜逆転している」。そんな子どもたちの心配な事例を挙げ、保護者に対して「子どもが学校に行きたがらないことは、誰にでも起こりえる」「一人で悩まないで」と呼びかける。スクールカウンセラーらの助言も紹介している。
諏訪市で9日に開かれたフェアでは、フリースクールや「親の会」などがブースを出して支援の取り組みを紹介。不登校を経験した当事者や教育、医療の関係者ら約120人が訪れた。
会場で開かれたトークイベントには諏訪市の三輪晋一教育長が登壇。県がフリースクールの認証制度を設けたことが、地域で教委と民間の支援団体が話し合うきっかけになったと紹介し、連携の大切さを説いた。また、「不登校に対して、まだ社会の理解がない」とも指摘。「社会を変えていくためには、支援の取り組みをオープンにして、社会に働きかけていくことが大事」と語った。
対談した「信州フリースクール居場所等運営者連絡協議会」の村上陽一代表は、子どもが不登校になった場合、保護者も働き方を変えざるをえないと指摘。「福祉や医療、雇用の関係者とも一緒に考えなければいけない。連携がまだ足りない」と語った。
フリースクール・居場所の「みんなのお家すまいる」(諏訪市)を運営し、今回のフェアの実行委員長を務めた渡辺裕子さんは、会場にそっと足を運ぶ保護者や小学生らの姿を見守った。「悩みながら、フェアに来るだけで精いっぱいと思っている方たちもいる。支援をする多くの味方がいると伝えられれば」と話した。
冊子はウェブで市町村の名前と「学びのサポートブックよりそう」で検索するとダウンロードできる。民間団体と教委の計30団体でつくる「諏訪地区学びの支援ネットワーク」は、活動に賛同する団体・個人の参加も募っている。問い合わせはメール([email protected])へ。