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運転シミュレーターのゲームで遊ぶ子どもたち。実際の運転士から手ほどきを受けることもある=2025年8月5日、神奈川県藤沢市、小林直子撮影

 鉄道好きの子どもたちが集まる「学校」が、神奈川県藤沢市にある。不登校の経験がある元運転士の2人が提案して始まった。

 小田急江ノ島線善行駅の改札を出てすぐの商業施設内。約130平方メートルのスペースには、本物の駅名表示板そっくりの看板や運転士らがつける腕章、大量のプラレールが並ぶ。

 小田急電鉄が運営するオルタナティブスクール「AOi(アオイ)スクール」だ。小学生から高校生までの約50人が通う。多くが学校に行きづらさを感じている子どもたちだが、スクールには夏休み中も登校し、運転シミュレーターのゲームを楽しんだり、鉄道に関する本を読んだりして過ごしていた。

 市内に住む小学6年生の男子児童(12)は、「ここの人はみんな優しい。楽しんでパワーをためています」。東京から夏休みに遊びに来たという卒業生の高校1年の男子生徒(15)は、「久しぶりに家に帰ってきた感覚。将来は鉄道会社に入って車掌になりたいんです」と話した。

 そんな子どもたちから「べっしー」「わっしー」と呼ばれ、親しまれているのは、AOiスクールの統括リーダーを務める別所尭俊さん(29)と鷲田侑紀さん(29)。2人は2017年の同期入社だ。入社前、制服の採寸日に別所さんから声をかけた。進学校として有名な中高一貫校から交通系の短期大学に進んだ鷲田さんの経歴を知り、「きっと、すごい鉄道好きに違いない」と思ったからだ。

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AOiスクールの玄関に立つ別所尭俊さん(左)と鷲田侑紀さん=2025年8月5日、神奈川県藤沢市、小林直子撮影

中学で不登校に

 別所さんは中学受験を経て…

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